マイカとは

概要

マイカ(雲母)とは火成岩や変成岩などに産する天然鉱物です。マイカ(mica)の語源はラテン語の”micus”(火に耐える)から来ていると言われており、その名の通り耐熱性に優れます。

日本では商業価値のあるマイカは産出されませんが、世界各地に大規模な鉱床が存在します。それぞれの地域には産出されるマイカ鉱石の組成や純度に違いがあり、主に金雲母と白雲母が産業品として利用されています。それぞれ下記のような化学式で表されます。

金雲母: KMg3(AlSi3O10)(OH)2

白雲母: KAl2(AlSi3O10)(OH)2

また、前述のように日本では産出されないことから研究が進められ、代替として開発された合成雲母(人工雲母)も存在します。

主なマイカの種類

金雲母(Phlogopite)

カナダ、アメリカ、マダガスカル、スリランカ、フィンランドなどで多く産出されます。上述の化学式を見てわかるように、白雲母のAlがMgに置き換えられた組成を持ち、それが名前にも表れる色の違いを生み出します。

白雲母(Muscovite)

インド、アメリカ、南アフリカ、ブラジル、中国などが主要産地で、世界各地に輸出されています。近年、日本に建材用として輸入が増えているのは、主に中国産マイカです。

合成雲母(Synthetic Mica)

アルミナやマグネシアなどの酸化物を調合し、高温で溶融、結晶させることで人工的に作ります。高価なため用途は限られますが、高純度で着色性が良いという特徴があります。

マイカの用途

マイカは耐熱性や電気絶縁性が高く、強靭で弾力性に優れ、加工がし易いことから、他の材料では代替出来ない特長として様々な分野で活かされています。

寸法安定性の高さや弾性率の高さからプラスチックの補強材として使われたり、剛性率の高さを利用して振動系材料に使われることもあります。樹脂やアスファルト等と組み合わせてダンピング材として利用されるケースもあります。

また、かつては安価で万能な材料として普及していたアスベストの人体への危険性が叫ばれ、規制が進む中で、同じような性質を出すことが出来る代替品として、マイカの用途拡大が大きく進みました。